窪田美恵 PhD (Mie Kubota) 窪田美恵 PhD|精神疾患動態研究チーム(理化学研究所 脳神経科学研究センター)

窪田美恵 PhD|精神疾患動態研究チーム(理化学研究所 脳神経科学研究センター)

プロフィール

専門職研究員
学位:博士(医学) 東京医科歯科大学 医学部 医学科医歯学総合研究科 薬理学
2008年に生物学的精神医学会 国際学会発表奨励賞を受賞。

研究内容

現在、次のような研究を行っている。

  1. 双極性障害患者死後脳を用いた視床室傍核におけるミトコンドリア異常細胞の探索
  2. ミトコンドリアカルシウム取り込みを標的とした新規気分安定薬の開発
  3. モノアミン酸化酵素Bノックアウトマウスを用いたミトコンドリア障害細胞と脳内酸化ストレスとの関連性

ミトコンドリア異常と気分障害との関連性に焦点を絞った研究チームの課題に従事するにあたり、これまで、ヒト死後脳を用いた形態学的、解剖学的解析を行い、ミトコンドリア異常細胞の探索を行ってきました。また、ミトコンドリアからカルシウム放出を担うミトコンドリア透過性遷移(mitochondrial transition pore: mPTP)を阻害する新規化合物の探索という課題にも携わってきました。ミトコンドリアは細胞内エネルギー産生だけでなく、神経細胞のシナプス内カルシウム動態を制御する重要な細胞内器官です。これらの研究を進める中で、1)ミトコンドリアの神経系での生理的役割の重要性、2)視床室傍核という小さな神経核の形態学的、解剖学的特徴とその機能、3)セロトニン神経系における酸化ストレスとミトコンドリア異常の関連に興味を持つようになりました。

マウスを用いた基礎研究とヒト脳組織を用いた研究に並行して取り組みながら、精神疾患のメカニズムへの理解を深めるため、チームのメンバーや研究基盤開発部門の方々、時には外部の研究者とも連携して研究を進めています。最新の技術や研究ツールを用いて、一歩ずつ進め、チームの研究が、将来的には精神疾患の原因解明や新規治療法の開発への基礎になることを願っています。

略歴

2009-現在
理化学研究所脳科学総合研究センター/脳神経科学研究センター 専門職研究員
2003-2008
理化学研究所脳科学総合研究センター 研究員
2001-2002
理化学研究所脳科学総合研究センター テクニカルスタッフ

所属学会

1997-現在
日本薬理学会
1997-現在
日本神経科学会
2001-現在
理化学研究所脳科学総合研究センター テクニカルスタッフ
2005-現在
北米神経科学会

主な原著論文

  1. Kato TM.*, Kubota-Sakashita M. *, Fujimori-Tonou N.*, Saitow F., Fuke S., Masuda A., Itohara S., Suzuki H., and Kato T.: Ant1 mutant mice bridge the mitochondrial and serotonergic dysfunctions in bipolar disorder. Mol Psychiatry 23, 2039-2049 (2018)
    *These authors are equal contributed
  2. Kubota-Sakashita M., Iwamoto K., Bundo M., and Kato T.: A role of ADAR2 and RNA editing of glutamate receptors in mood disorders and schizophrenia. Mol Brain 7, 5 (2014)
  3. Kubota M., Kasahara T., Iwamoto K., Komori A., Ishiwata M., Miyauchi T., and Kato T. Therapeutic implications of down-regulation of cyclophilin D in bipolar disorder. Int J Neuropsychopharmacol., 13.1355-1368 (2010).
  4. Kubota M., Kasahara T., Nakamura T., Ishiwata M., Miyauchi T., and Kato T. Abnormal Ca2+ dynamics in transgenic mice with neuron-specific mitochondrial DNA defects. J. Neurosci. 26, 12314-12324 (2006).
  5. Nagai T., Ibata K., Park E.S., Kubota M., Mikoshiba K. and Miyawaki A. A variant of yellow fluorescent protein with fast and efficient maturation for cell-biological applications. Nat. Biotechnol. 20, 87-90 (2002).